技術革新と同時に、ロレックスは宣伝戦略にも力を入れた。もとより伝統あるスイスの高級時計メーカーに比べると、ロレックスは新興メーカーにすぎない。常に技術革新をするだけでなく、それをわかりやすく人々に提示して、ブランド−イメージを確立することが急務だ。そこでウィルスドルフがしたのは、「ロレックス」というブランド名を広めることだった(一九〇八年)。この名前は、覚えやすさ、外国での発音しやすさ、文字盤へのロゴの配置しやすさなどの基準から慎重に選ばれたという。ウィルスドルフは「ブランド」の意義を最初から認識していたのだ。さらにロレックスは二十世紀のさまざま記録樹立や冒険に製品を提供して、効果的なパブリシティ戦略を進めていく。