一九七一年八月十五日の夜、ニクソン米大統領は全米のテレビ、ラジオを通じて「新経済政策」を発表しました。その内容は(1)ドルの交換性停止、(2)一〇%の輸入課徴金の設定、(3)対外援助の一〇%削減、(4)賃金・物価の九十日間凍結、(5)所得税減税の一年繰り上げ実施などで、まったく抜き打ちの発表でした。米国の国際収支が悪化、金保有高も減少し、本格的なドル防衛策を打ち出さざるをえなくなったからです。わが国をはじめ世界各国に特に強い衝撃を与えたのは、ドルの交換性停止と輸入課徴金の創設でした。外国の政府や中央銀行がドルを持ってきても、米国が保有している金やその他の準備資産(ドル以外の外貨など)と交換しないというニクソン政権の宣言は、固定為替相場制度とドルの交換性保証を柱とする戦後の国際通貨体制を、事実上崩すことになります。また米国が輸入する品物に課徴金をかけることは、対米輸出価格の上昇であり、ドル切り上げと同じ意味を持ちます。